こんにちは!maroです。
テレビCMやSNSの広告で、大好きな俳優や憧れのインフルエンサーが
「これ、本当に良くて愛用しています!」
と微笑んでいるのを見て、気づいたら同じ商品を買い物カゴに入れていた・・・
そんな経験はありませんか?
「ファンだから応援したい」という気持ちはもちろんあるでしょう。
しかし、私たちが彼らの勧める商品に惹かれる背景には、人間の脳が抗えない「心理学的な仕掛け」がいくつも働いているのです。
企業のマーケティング戦略は、心理学の塊(かたまり)と言っても過言ではありません。
この記事では、なぜ有名人を起用すると商品が売れるのか、そのメカニズムを4つの心理学的視点から分かりやすく解説します。これを知れば、明日からの広告の見方がガラリと変わるはずです!
解説記事:有名人に心が動かされる4つの心理学
企業が巨額のギャラを払ってでも芸能人やインフルエンサーを起用する理由は、人間の認知のバグや心理傾向を巧みに利用できるからです。主な4つの心理効果を見ていきましょう。
後光がすべてを美しく見せる「ハロー効果」
心理学者のエドワード・ソーンダイクが提唱した「ハロー効果」は、広告心理学の王道です。ハローとは「後光(聖像の背後に描かれる光の輪)」を意味します。
ある対象を評価するとき、際立ったポジティブな特徴(美しさ、好感度、知性など)に引きずられて、それとは直接関係のない他の特徴まで高く評価してしまうという認知の歪み(バイアス)です。
- 広告での働き: 「この女優さんは美しくて清潔感がある(際立った特徴)」という評価が、「彼女が紹介している化粧品は、きっと品質が良くて効果があるに違いない(商品の評価)」へと無意識にすり替わります。
ちょっと一息コラム:不祥事は起こしたタレントの広告が流れなくなるのもハロー効果?
広告に起用されているタレントが不祥事などで問題になった際、広告が配信停止になるケースをよく見かけます。
ハロー効果はポジティブな面だけでなく、ネガティブな面でも同じように働きます。これを「ネガティブ・ハロー効果」や「逆ハロー効果」と呼びます。
芸能人が不祥事を起こすと、「不誠実」「不潔」「ルールを破る人」という強烈なマイナスイメージ(際立った特徴)が生まれます。すると、人間の脳は認知のバイアスによって、その人が紹介している商品や企業に対しても、「不誠実な企業が作った、怪しい商品に違いない」と無意識にネガティブな評価を下してしまうのです。
見れば見るほど好きになる「単純接触効果(ザイアンス効果)」
心理学者ロバート・ザイアンスが実証した「単純接触効果」も深く関係しています。
人間は、最初は興味がなかった対象でも、何度も目にする(接触する)うちに警戒心が薄れ、好感度や親近感が高まるという性質を持っています。
- 広告での働き: すでにテレビやSNSで毎日見かけて「親近感」を抱いている芸能人がCMに出ることで、その商品自体にも最初から好印象(親近感)を持った状態でスタートできるのです。
「この人みたいになりたい」を満たす「参照集団」と「同一視」
私たちは無意識のうちに、自分の価値観や行動の基準にするグループを持っています。
これを社会心理学で「参照集団」と呼びます。特にインフルエンサーは、消費者が「こうなりたい」と憧れる象徴(準拠枠)になりやすい存在です。
精神分析の概念である「同一視」も働きます。憧れの人が持っているものと同じものを手に入れることで、「自分もその人の一部になれたような感覚」や「理想の自分に近づけた感覚」を満たそうとする心理です。
専門家や魅力的な人に従う「社会的影響力と権威性」
心理学者ロバート・チャルディーニの著書『影響力の武器』でも有名な「権威」や「好意」の原則です。人間は、自分が好意を抱いている人や、その分野の専門家(美容インフルエンサーなど)の意見を、深く考えずに正しいと信じ込んでしまう傾向(思考の近道:ヒューリスティック)があります。
具体例:私たちの日常に潜む「思考実験」
ここで、インフルエンサーマーケティングの効果を実感できる簡単な思考実験をしてみましょう。
【思考実験:あなたがオーガニックコーヒーを買うなら?】
目の前に、まったく同じ成分、同じ価格、同じパッケージの「新しいオーガニックコーヒー」が2つあります。
- Aのコーヒー: 街のポスターで、あなたが普段からYouTubeやInstagramをフォローしており、「ライフスタイルが丁寧で素敵だな」と憧れているインフルエンサーが、笑顔でカップを持っている。
- Bのコーヒー: 誰も知らない一般の男性が、真顔でカップを持っている。
あなたはどちらを飲んでみたい、あるいは「おいしそう」「身体に良さそう」と感じるでしょうか?
多くの方が、直感的に「A」と答えるはずです。
冷静に考えれば、そのインフルエンサーがコーヒーの専門家(焙煎士など)でない限り、味の保証にはなりません。
しかし、私たちの脳は「素敵なあの人が選んでいる=きっと良いものだ(ハロー効果・同一視)」と瞬時に判断を下します。
私自身の体験を振り返っても、あるガジェット系YouTuberが「デスク周りをすっきりさせる便利グッズ」を紹介しているのを見て、大して必要でもなかった収納ラックを衝動買いしてしまったことがあります。「彼のようなスマートな作業環境を作りたい」という同一視の心理が、見事に財布の紐を緩めさせたのです。
まとめ
CMやSNSで芸能人やインフルエンサーを起用すると商品が売れるのは、単に「有名だから」という表面的な理由だけではありません。
- ハロー効果:その人の魅力が商品への信頼にすり替わる
- 単純接触効果:すでに抱いている親近感が商品へと引き継がれる
- 参照集団と同一視:「あの人のようになりたい」という変身願望を刺激する
- 社会的影響力:好きな人の意見を無意識に正しいと受け入れる
これら複数の心理的メカニズムが複雑に、かつ強力に絡み合っているからこそ、私たちは「あの人が使っているなら買おう」と突き動かされるのです。
次に広告を見るときは、「お、いま自分のハロー効果が刺激されているな」と一歩引いて観察してみるのも、心理学の楽しみ方として面白いかもしれませんね。
では次回の記事でお会いしましょう!
【参考文献】
- Thorndike, E. L. (1920). A constant error in psychological ratings. Journal of Applied Psychology.(ハロー効果の原典)
- Zajonc, R. B. (1968). Attitudinal effects of mere exposure. Journal of Personality and Social Psychology.(単純接触効果の原典)
- ロバート・B・チャルディーニ『影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか』誠信書房
- フィリップ・コトラー『コトラーのマーケティング・マネジメント』丸善出版(参照集団に関する記述)
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