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なぜ私たちは「流行」に乗ってしまうのか?ブームを生み出す4つの心のメカニズム

解説記事
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こんにちは!maroです。

私たちの社会やネットなどで、ある商品やミームがたびたび流行します。
妖怪ウォッチやタピオカ、猫ミームなどですね!

(ちなみに妖怪ウォッチが流行したのが2014年だそうです。えっ、12年前!?)

では、こういった流行というのは、どういった経緯で社会全般に伝播していくのでしょうか。
今回は心理学の視点から、流行の仕組みを紐解いていきましょう!

流行を創り出す4つの心理学的メカニズム

流行が爆発的に広がる背景には、主に4つの心理学的なメカニズムが働いています。
これらが連鎖することで、小さな火種が社会現象へと変わっていくのです。

同調行動:「みんなと同じ」がもたらす安心感

流行の最も強力なエンジンとなるのが「同調行動」です。
これは、周囲の人々の行動や意見に合わせて、自分の行動を変えてしまう心理を指します。

心理学者ソロモン・アッシュが1950年代に行った有名な「同調実験」があります。

明らかに長さが違う線の中から、正解の線を選ぶという単純なテストです。
周囲のサクラ全員がわざと間違った答えを言うと、被験者の約35%がその明らかな誤答に同調してしまいました。

同調行動が起きる理由は、心理学的に次の2つに分類されます。

  • 情報的影響: 「みんなが選んでいるのだから、それが正しい(良いもの)に違いない」という判断。
  • 規範的影響: 「みんなと違う行動をして、集団から浮きたくない、嫌われたくない」という防衛本能。

トレンドの服を着ることは、私たちが無意識に「この集団の仲間ですよ」と周囲にアピールし、安心感を得るための行動であると言えます。

社会的証明の原理:脳の手抜きが生む大行列

心理学者ロバート・チャルディーニの世界的ベストセラー『影響力の武器』で紹介されているのが、「社会的証明の原理」です。
人は、何を信じ、どう行動すべきかを迷ったとき、他人の行動を基準にして決定する傾向があります。

現代社会は情報に溢れており、すべての選択肢を吟味する時間は脳にありません。そのため、脳は「多くの人が支持している=正解」というショートカット(直感的な判断)を使います。

SNSの「いいね!」の数や、Amazonのレビューの星の数、そして店舗の前の大行列は、まさにこの社会的証明の塊です。

「これだけ多くの人が認めているなら間違いない」という心理が、さらなる体験者を生み、流行を加速させます。

バンドワゴン効果 vs スノップ効果:2つの欲求のジレンマ

経済学や行動心理学でよく使われる言葉に、「バンドワゴン効果」があります。
これは、ある選択肢を支持する人が増えれば増えるほど、その選択肢を選ぶ人がさらに増える現象です。いわゆる「勝ち馬に乗りたい」という心理ですね。

しかし、人間の心は不思議で、流行が極限まで達すると、今度は真逆の心理が働き始めます。
それが「スノップ効果」です。

これは、「みんなが持っているなら、私はあえて違うものが欲しい」という、他者との差別化や自己顕示欲から生まれる心理です。

流行は、以下のようなサイクルで動いています。

「人とは違う特別なものが欲しい(スノップ効果)」

↓(一部のオシャレな人が目を下げる)

「みんなが持ち始めたから私も欲しい(バンドワゴン効果)」

↓(社会全体に普及する)

「みんなと同じじゃつまらない(スノップ効果へ戻る)」

この2つの欲求がシーソーのように繰り返されることで、流行は常に新陳代謝を起こしているのです。

イノベーター理論:ブームが伝染していく5つのステップ

社会学者エヴェリット・ロジャーズが提唱した「イノベーター理論」によると、新しいモノが社会に普及するとき、人々は心理的な特徴によって5つのグループに分かれます。

グループ名割合心理的特徴
1. イノベーター(革新者)2.5%新しさに価値を感じる。リスクを恐れない。
2. アーリーアダプター(初期採用者)13.5%トレンドに敏感。口コミの源泉(インフルエンサー)。
3. アーリーマジョリティ(前期追随者)34.0%流行に遅れたくない。慎重だが流行に乗る。
4. レイトマジョリティ(後期追随者)34.0%みんなが使い始めてから、ようやく導入する。
5. ラガード (遅滞者)16.0%流行に興味がない。最後まで頑なに伝統を守る。

流行が「社会現象」になるかどうかの境目は、イノベーターとアーリーアダプターを合わせた「16%の壁(キャズム)」を超えられるかどうかにかかっています。

インフルエンサー(アーリーアダプター)が発信した情報が、慎重派な一般層(アーリーマジョリティ)に届いた瞬間、爆発的なブームが巻き起こるのです。

具体例:私たちの日常に潜む「流行の正体」

ここで、少し身近な例を使って、この心理メカニズムを体感してみましょう。

【思考実験】あなたが選ぶのはどっちのカフェ?

見知らぬ土地を歩いていて、お腹が空いたあなた。目の前に2つのカフェがあります。

  • A店: お客さんが誰も入っておらず、店員さんが暇そうにしている。
  • B店: 店の外まで5組ほどのお客さんが並んで待っている。

メニューも価格も外観のオシャレさも全く同じだとしたら、あなたはどちらに入りたいと思いますか?

おそらく、多くの人が無意識に「B店の方が美味しいんだろうな」と感じるのではないでしょうか。

これが「社会的証明の原理」の罠です。
A店の方がすぐに座れて快適かもしれないのに、私たちは「他人の選択」を基準にして行動を決めてしまいます。

『鬼滅の刃』や『チェンソーマン』が社会現象になった理由

近年の大ヒット漫画・アニメの推移を振り返ると、心理学的メカニズムが完璧に機能していることが分かります。

最初は、熱心なマンガ好き(イノベーター)の間で「この作品がすごい」と話題になります。
その後、アニメ化などをきっかけに、SNSで影響力のある人たち(アーリーアダプター)が「作画が神すぎる!」「神回!」とファンアートや感想を拡散し始めます。

すると、それを見た周囲の人たちが「情報的影響(みんなが良いと言っているから見なきゃ損かも)」や「規範的影響(学校や職場でその話題についていけないと寂しい)」を感じ、一気にアーリーマジョリティへと伝染します。

最終的には、普段アニメを全く見ない層(レイトマジョリティ)までが「ニュースでやってるから」という理由で映画館に足を運ぶようになります。

作品の面白さはもちろんですが、「みんなが盛り上がっているお祭りに参加したい」という帰属欲求(集団に属したい欲求)が、ここまでの大ブームを創り上げたのです。

ちなみに私は先日、ネットで話題になっていた『超かぐや姫!』を見にいきました。
めちゃ面白かったです!(復活上映おめでとう!!!)

まとめ:流行に乗ることは、人間らしい「生存戦略」

流行が伝播には、以下の心理や理論が関係しています。

  • 同調行動:「みんなと同じ」がもたらす安心感。
  • 社会的証明の原理:脳のショートカットのため、周りの評価で判断する。
  • バンドワゴン効果:ある選択肢を支持する人が増えれば増えるほど、その選択肢を選ぶ人がさらに増える。
  • イノベーター理論:流行の5ステップ。インフルエンサー(アーリーアダプター)が発信した情報が、慎重派な一般層(アーリーマジョリティ)に届いた瞬間に流行がおこる。

次に新しいブームが訪れたときは、一歩引いて流行を分析してみると

「あ、いま私のアーリーマジョリティな心が動いているな」
「社会的証明に背中を押されているな」

と違った視点で見ることができます!

そんな風に自分の心理を客観的に楽しむことができると、日々の日常が、ちょっと面白く見えるかもしれません。

ではまた!


【関連・参考】

  • ソロモン・アッシュ 『同調実験』
  • ロバート・B・チャルディーニ 『影響力の武器[第三版]―なぜ、人は動かされるのか』
  • エヴェリット・M・ロジャーズ 『イノベーション普及学』他

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