こんにちは。maroです。
仕事をお願いされたとき、つい「大丈夫です」と引き受けてしまう。
かと思えば、我慢が限界に達して強い口調で言い返し、あとで「言いすぎた…」と落ち込む。
職場に限らず、「言いたいことをちょうどよく伝える」のは、意外と難しいものですよね。
そこで役立つのが、心理学の「アサーション」という考え方と、その実践法であるDESC法です。
この記事では、角を立てずに自分の気持ちを伝えるコツを、職場の具体例とあわせて紹介します!
アサーションとDESC法とは?
アサーション(アサーティブ)とは、自分も相手も大切にしながら、自分の意見を伝える自己表現のスキルのことです。
アサーションの考え方では、人の伝え方を大きく3つのタイプに分けます。
具体例として、締め切り間際に、同僚から急な仕事を頼まれた場面で比べてみましょう。
| タイプ | 特徴 | 返し方の例 |
|---|---|---|
| 攻撃的 | 自分を優先し、相手を大切にしない | 「今忙しいの見て分からない?」 |
| 非主張的 | 相手を優先し、自分を大切にしない | 「…分かりました、やります」(本当は無理) |
| アサーティブ | 自分も相手も大切にする | 「今日は締め切りがあって難しいです。明日の午前なら手伝えますが、どうですか?」 |
アサーティブな伝え方は、「我慢する」でも「言い負かす」でもない第三の道です。自分の気持ちを率直に伝えつつ、相手の立場も尊重します。
そしてDESC法は、アメリカのバウアー夫妻が提案した、アサーティブに伝えるための方法です。伝えたいことを4つのステップに分けて組み立てます。
- D(Describe):事実を描写する
相手の行動や状況を、感情や評価を交えずに客観的に伝えます。「いつも」「絶対」といった決めつけの言葉は避けましょう。 - E(Express):気持ちを伝える
その事実に対して、自分がどう感じたかを伝えます。「あなたは〜だ」ではなく「私は〜と感じた」と、自分を主語にするのがポイントです。 - S(Specify):具体的な提案をする
相手にしてほしいことを、具体的かつ現実的な形で提案します。「ちゃんとして」のような曖昧なお願いでは伝わりません。 - C(Choose):選択肢を考えておく
提案を受け入れてもらえた場合と、断られた場合の両方について、自分がどうするかをあらかじめ考えておきます。
話す前にこの4つをメモに書き出しておくと、いざという時に落ち着いて伝えられます。
DESC法の活用シチェーション
では実際に、職場のシチュエーションをイメージしてDESC法を用いての伝え方を紹介します。
例1:会議の変更を知らされなかったとき
たとえば、同じチームの先輩から、会議の時間変更を自分だけ知らされていなかったとします。これが何度か続いている場面で、DESC法を使ってみましょう。
- D(事実):「先週と今週の2回、会議の時間変更が私に届いていなかったんです」
- E(気持ち):「途中から参加することになって、正直ちょっと焦りました」
- S(提案):「今後は、チームのチャットに変更を流してもらえると助かります」
- C(選択肢):OKなら「ありがとうございます」。難しそうなら「では、私からも前日に確認するようにしますね」
ポイントは、「わざと外しましたよね?」と相手の意図を決めつけないことです。
事実と自分の気持ちだけを伝えれば、相手も防御的になりにくく、話し合いの余地が生まれます。
例2:急な仕事を頼まれて断りたいとき
夕方5時、自分の締め切りが明日に迫っているのに、先輩から「これ、今日中にお願いできる?」と資料作りを頼まれた場面です。
断るのが苦手な人ほど、ここで無理をして引き受けてしまいがちです。
- D(事実):「明日の朝までに、A社向けの提案書を仕上げる必要があるんです」
- E(気持ち):「お力になりたいのですが、今日中に両方やるのは正直厳しいと感じています」
- S(提案):「明日の午後からなら対応できます。それか、今日は資料の構成だけ作るのはどうでしょう?」
- C(選択肢):OKなら明日の午後に着手。どうしても今日中なら「では、提案書の締め切りを上司に相談してもいいですか?」と優先順位の判断をあおぐ
「できません」で終わらせず、代わりの案を出すのがポイントです。
断りながらも協力する姿勢が伝わるので、関係がぎくしゃくしにくくなります。
DESC法をうまく使う3つのコツ
DESCをうまく使いこなすための方法を3つ紹介します。
「私」を主語にする
同じ内容でも、主語を変えるだけで相手の受け取り方は大きく変わります。
| NG(あなた主語) | OK(私主語) |
|---|---|
| 「なんで教えてくれないんですか?」 | 「教えてもらえると、私は助かります」 |
| 「いつも仕事を押しつけますよね」 | 「今の量だと、私は手が回らないと感じています」 |
タイミングと場所を選ぶ
人前で伝えると、相手は恥をかかされたと感じて防御的になります。
できるだけ1対1で、相手が忙しくないタイミングを選びましょう。「少しだけお時間いいですか?」と一言添えるのも効果的です。
短く、穏やかに伝える
言いたいことが多いほど、話は長くなりがちです。
DESCのそれぞれを1〜2文に収めるつもりで準備しましょう。
声のトーンは落ち着いて、表情はやわらかく。言葉以外の部分も、メッセージの一部として相手に伝わります。
うまくいかないときの考え方
DESC法を使っても、相手が提案を受け入れてくれるとは限りません。でも、それは失敗ではありません。
アサーションの目的は、相手を思い通りに動かすことではなく、自分の気持ちを率直に伝えることです。
相手がどう受け取り、どう行動するかは、相手が決めることです。
むしろ、「伝えた」という事実そのものに意味があります。我慢を続けてため込むよりも、ずっと心の負担は軽くなるはずです。
最初から完璧を目指す必要はありません。まずは「Dの事実を伝える」だけでも十分です。小さな場面から少しずつ練習していきましょう。
まとめ
アサーションとは、自分も相手も大切にする伝え方です。
そして、アサーションのフレームワークであるDESC法は以下の順序で伝えることです。
- D(Describe):事実を描写する
- E(Express):気持ちを伝える
- S(Specify):具体的な提案をする
- C(Choose):選択肢を考えておく
特に、味方のようでいて自分を傷つけてくる相手には、黙って我慢するのも、感情的に言い返すのも逆効果になりがちです。そんな相手との付き合い方については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
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【関連・参考】
- 平木典子『三訂版 アサーション・トレーニング: さわやかな〈自己表現〉のために』




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