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大人から英語を始めるのは手遅れ?|臨界期の話と、大人が持つ3つの武器

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こんにちは!maroです。

「言語習得には臨界期がある。それを過ぎたら手遅れ」

英語をやり直そうとして調べていると、よくこの話に行き当たります。
だいたい12〜13歳が境目、という説明とセットで。

まず、事実関係を整理します。

臨界期仮説は、実在する学説です。
言語学者のエリック・レネバーグが1967年に提唱したもので、根拠なく広まった俗説ではありません。

ただし
「臨界期を過ぎたら習得できない」という結論は、この仮説から出てきていません。

つまり「手遅れ」と断言できる根拠は存在しないということです。

この記事では、この臨界期について深掘りしたうえで、大人が持っている武器を3つ紹介します!

臨界期仮説とは

もともとの主張は、「ある時期を過ぎると、言語習得のあり方が変わる」というものでした。

子どもが母語を身につける過程には、意識的な努力がほとんどありません。

文法を教わらなくても、正しい語順で話すようになる。この自動的な習得が働く時期には限りがある、という考え方です。

ここで注意すべき点が2つあります。

1つ目は、これが主に母語の習得についての議論だったことです。 第二言語の学習にそのまま当てはまるかどうかは、別の問題です。

2つ目は、「習得の仕方が変わる」と「習得できない」は別だということです。 自動的に身につかなくなるからといって、意識的な学習でも身につかないという話にはなりません。

そして実際、大人になってから第二言語を高いレベルまで習得した人は、いくらでもいます。

言語学習における大人の不利な点2つ

とはいえ、いいことばかりではありません。
年齢の影響が出やすい領域はあります。

1. 発音

ここは、比較的はっきりしています。

学習を始めた年齢が遅いほど、母語話者と同じ発音に到達しにくくなる傾向は、複数の研究で報告されています。

母語の音韻体系が確立した後だと、母語にない音の区別が聞き取りにくくなるためです。

ただ、これをどう受け止めるかが重要です。

目標が「ネイティブと同じ発音」なら、確かに難しいかもれしれません。

しかし目標が「通じる発音」なら、話はまったく変わります。

世界で英語を使っている人の多くは非母語話者で、それぞれの訛りを持ったまま問題なく仕事をしています。

2. 時間

こちらは能力ではなく状況の問題です。

子どもは1日の大半を学習に使えますが、大人には仕事があります。同じ量を投入できないという制約は、単純に不利です。

だからこそ、効率の話が重要になります。そしてそこは、大人の方が有利です。

大人が持っている3つの武器

一方で、大人だからこそ使える武器もあります。
3つに分けて紹介します。

武器1:母語の知識

すでに1つの言語を完全に習得している、という事実は大きなアドバンテージです。

主語と動詞がある、時制がある、修飾のルールがある。こうした言語の基本構造を、すでに理解しています。

だから 「これは日本語の◯◯に当たる」という理解の仕方ができます。
子どもにはこれができません。ゼロから体系を作るしかありません。

実際、学習開始からの初期段階では、大人の方が習得の速度が速いという報告もあります。

武器2:学習方略を選べる

自分に合った方法を選び、うまくいかなければ変える。当たり前に思えますが、これは高度な能力です。

  • 単語が覚えられないなら、覚え方を変える
  • 教材が合わないなら、別のものにする
  • 時間が取れないなら、隙間時間の使い方を設計する

子どもは、与えられた環境で学ぶしかありません。
大人は環境そのものを設計できます。

武器3:メタ認知

自分が何をわかっていないかを、把握できる能力です。

「文法はわかるが、聞き取りができていない」
「単語は知っているのに、口から出てこない」

こうした自己分析ができると、手を打つ場所を特定できます。闇雲に量をこなすのではなく、弱い部分に絞って対策ができますね。

これは大人にしかできないことで、しかも効率に直結します。

実践方法3つ

武器がわかったところで、実践面を3つ紹介します。

1. 目的を「ネイティブになること」から外す

ここを間違えると、永久に失敗し続けます。

到達目標を「母語話者と同じ」に設定すると、どれだけ上達しても未達のままです。
しかも前述のとおり、発音については実際に難しい。

目的を具体的な行動に置き換えてください。

  • 海外旅行で困らない
  • 仕事のメールを読める
  • 会議で発言できる

達成できる目標を持つことが、続けるための条件になります。前の記事でも書いたとおり、達成できない目標を掲げ続けると、失敗の経験だけが積み上がります。

2. 子どもの真似をしない

「子どものように自然に身につける」という謳い文句をよく見かけますが、大人にはその方式が向いていません。

大人の強みは、理屈から理解できることです。
文法の説明を読んで納得してから使う、という順序でまったく構いません。

説明から入るのは、遠回りではなく大人向けの近道です。

3. アウトプットの機会を先に確保する

これが、一番後回しにされがちな部分です。

単語を覚え、文法をやり、教材を読む。
インプットだけは、一人で完結するので進めやすい。

しかし話す機会は、意識的に作らないと永久に発生しません。

そして武器3で書いたメタ認知は、アウトプットしないと働きません。

実際に話してみて初めて、「文法はわかるのに口から出てこない」という自分の弱点が見えます。

準備が整ってから話す、という順序だと、いつまでも準備が終わりません。

先に話す機会を作って、そこで見つかった弱点を埋める方が、大人の学習には合っています。

まとめ

今回のまとめです!

  • 臨界期仮説は実在する学説だが、「手遅れ」を意味しない。研究者の間でも決着していない
  • 年齢の影響が出やすいのは 発音。ただし目標が「通じる発音」なら問題は小さい
  • 大人の武器は 母語の知識・学習方略・メタ認知 の3つ
  • 目標を「ネイティブ」に置かない。具体的な行動に置き換える
  • 子どもの真似をしない。説明から入っていい
  • アウトプットの機会を先に作る。弱点はそこでしか見つからない

「もう遅い」という判断だけは、根拠がありません。

始めるかどうかは、年齢ではなく、目的の設定次第です!


【関連・参考】

  • Lenneberg, E. H. (1967). Biological Foundations of Language. Wiley.
  • Snow, C. E., & Hoefnagel-Höhle, M. (1978). The critical period for language acquisition: Evidence from second language learning. Child Development, 49(4).
  • Birdsong, D. (2018). Plasticity, variability and age in second language acquisition and bilingualism. Frontiers in Psychology, 9.
  • Flege, J. E., Yeni-Komshian, G. H., & Liu, S. (1999). Age constraints on second-language acquisition. Journal of Memory and Language, 41(1).

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