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勉強が続かない心理|意志の問題ではない理由と4つの対策

解説記事
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こんにちは!maroです。

「21日続ければ習慣になる」
聞いたことがあると思います。
3週間がんばれば、あとは自動的に続くようになる、という話です。

実はこれ、根拠のある数字ではありません。

ロンドン大学の研究チームが、実際に人の行動が習慣化するまでの期間を調べたことがあります。
結果は、平均で66日でした。
しかも個人差が非常に大きく、18日で定着した人もいれば、250日以上かかった人もいました。

つまり、21日でやめて「自分は意志が弱い」と結論づけた人の多くは、
まだ定着していない時期に、定着しなかったと判定していたことになります。

続かないのは、あなたの意志の問題ではありません。
期間の見積もりと、続け方の設計の問題です。
この記事では、なぜ続かないのかを心理学の視点から整理し、実際に取れる対策を4つ紹介します!

結論

早速ですが、この記事における結論をお伝えします。

  • 習慣化には平均66日かかる。21日でやめるのは早すぎる
  • 続く人は意志が強いのではなく、意志を使わなくていい仕組みを持っている
  • 対策は4つ。いつやるかを事前に決める/始めるハードルを下げる/中途半端で終える/記録する
  • 4つに共通するのは、やる気に依存しない設計にすること

順番に解説していきます。

「やる気を出す」という方向が間違っている

続かないと悩む人の多くが、対策としてやる気の話に向かいます。
モチベーションを上げる方法を調べる。目標を大きく掲げる。決意を新たにする。

ここに問題があります。やる気は、日によって変動するものだからです。

体調が悪い日、疲れている日、嫌なことがあった日。やる気は確実に下がります。
そしてやる気に依存した計画は、下がった日に止まる。一度止まると再開のハードルが上がり、そのまま終わる。

だから設計を変える必要があります。

目指すのは、やる気が低い日でも実行できる状態です。
やる気が高い日は放っておいても進むので、対策する必要がありません。

脱落しやすいのは「決意した直後」ではない

もう一つ、知っておくと役に立つことがあります。

多くの人は、始めて数日で挫折すると思っています。
しかし実際に脱落が起きやすいのは、1〜2週間続いた後です。

理由は単純で、最初の数日は決意の勢いで動けるからです。
その勢いが切れた時点で、仕組みがなければ止まります。

そして「1週間も続いたのに、また止めてしまった」という経験が、
次に始めるときのハードルを上げます。
失敗の記憶が積み上がることの方が、実は問題です。

だからこそ、対策は「気合いを入れ直す」ではなく、
勢いが切れた後も動く仕組みを作ることになります。

対策1:「いつ・どこで」を事前に決める

最も効果が確認されている方法です。

心理学に 実装意図(if-thenプランニング) という概念があります。
ゴルヴィツァーらの研究で、「もしXの状況になったら、Yをする」という形で事前に決めておくと、実行率が明確に上がることが示されています。

多数の研究を統合した分析でも、効果が確認されています。

具体的にはこうです。

  • ×「毎日30分勉強する」
  • ○「夕食を食べ終わったら、すぐにテキストを開く」

違いは、きっかけとなる場面が指定されているかです。

「毎日30分」には、いつやるかが入っていません。
だから毎回「今からやるか」を判断することになり、その判断のたびにやる気が必要になります。

一方、きっかけを決めておけば、判断が不要になります。
夕食が終わった、だから開く。それだけです。

きっかけは、すでに毎日やっていることに紐づけるのが確実です。

  • 朝、コーヒーを淹れたら
  • 電車に乗ったら
  • 歯を磨き終わったら

こんな感じですね!

対策2:始めるハードルを下げる

続かない原因の多くは、続けることではなく始めることにあります。

机に向かうまでが一番遠い。
開いてしまえば、案外進む。これは多くの人が経験しているはずです。
なので、開始までの手数を物理的に減らしてみましょう。

  • テキストを開いたまま机に置いておく
  • アプリをスマホのホーム画面の一等地に置く
  • 前日の終わりに、翌日やるページを開いておく

そしてもう一つ、目標の量を極端に下げることです。

「1日30分」ではなく「1日1ページ」。
あるいは「アプリを開くだけ」でも構いません。

これは手抜きではありません。ここで効いているのは 自己効力感 です。

心理学者アルバート・バンデューラが提唱した概念で、「自分にはできる」という感覚のことを指します。そしてこの感覚を最も強く育てるのは、実際に達成できた経験だとされています。

達成できない目標を掲げ続けると、失敗の経験だけが積み上がります。
逆に、確実に達成できる小さな目標は、続けるための土台を作ります。

対策3:中途半端なところで終える

少し変わった方法ですが、試す価値があります。

キリのいいところで終わらない。 章の途中、問題の途中で止めてください。

未完了の作業は、完了した作業より記憶に残りやすいと言われています(ツァイガルニク効果)。
途中で止めておくと、そのことが頭に残り、再開しやすくなる、という考え方です。

別の記事で詳しく紹介しています。

※ この効果については再現性をめぐる議論もあります。
ただ、実務的な工夫としては機能します。「明日は、この続きから」という状態は、白紙から始めるよりも取りかかりが軽いからです。

キリよく終えると、翌日は何から始めるかを決めるところからスタートすることになります。
この判断が、地味に負荷になっています。

対策4:記録する

最後は、進捗を見えるようにすることです。

やったかどうかだけを、カレンダーやアプリに残してください。
内容は書かなくて構いません。やった日に印をつけるだけで十分です。

目標に向けた進捗を記録することが、目標の達成率を高めることは、
複数の研究を統合した分析でも支持されています。

効いている理由は2つあります。

1つ目は、実態が見えること。
「全然できていない」という感覚は、たいてい実際より悪く見積もられています。記録を見ると、思ったより続いていることが多い。

2つ目は、途切れが見えること。
2日空いたことが視覚的にわかると、3日目に戻りやすくなります。逆に記録がないと、いつから止まっているかもわからないまま消えていきます。

なお、1日空いても問題ありません。
前述の研究でも、途中で1日抜けたことが習慣化そのものを妨げるわけではないと報告されています。

問題なのは、1日空いたことをきっかけに「もう終わりだ」と判定してしまうことです。

続ける仕組みを、外部に持つ

ここまで4つ紹介しましたが、限界もあります。

すべて自分で管理する方法なので、自分で決めて自分で守る構造になっています。
これが苦手な人は一定数います。

その場合に有効なのが、仕組みを外部に置くことです。

  • 予約制にする(時間が決まっているので判断が不要)
  • 相手がいる状態にする(自分だけの問題ではなくなる)
  • お金を払う(中断のコストが上がる)

対策1で「判断を減らす」と書きましたが、外部の仕組みは判断そのものを取り上げてくれます。
予約が入っていれば、やるかどうかを考える余地がありません。

独学が続かなかった人が、教室やレッスン形式に切り替えて続いた、という話はよく聞きます。
あれは意志が強くなったのではなく、判断の回数が減ったのです。

自分の管理でうまくいかないなら、設計が悪いのではなく、
その方式が合っていない可能性を考えてみてください。

まとめ

  • 「21日で習慣になる」は根拠がない。平均66日、個人差も大きい
  • やる気は変動する。やる気に依存しない設計にする
  • 脱落しやすいのは1〜2週間後。勢いが切れた後の仕組みが要る
  • 「いつ・どこで」を事前に決める。すでにやっていることに紐づける
  • 始めるハードルを下げる。目標は達成できる大きさにする
  • 中途半端で終える。翌日の取りかかりが軽くなる
  • 記録する。実態が見え、途切れにも気づける
  • 自己管理が向かないなら、仕組みを外部に置く

続かなかった経験は、意志の弱さの証拠ではありません。
設計を変えれば、結果は変わります。


【参考文献】

  • Lally, P., van Jaarsveld, C. H. M., Potts, H. W. W., & Wardle, J. (2010). How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. European Journal of Social Psychology, 40(6).
  • Gollwitzer, P. M., & Sheeran, P. (2006). Implementation intentions and goal achievement: A meta-analysis of effects and processes. Advances in Experimental Social Psychology, 38.
  • Bandura, A. (1977). Self-efficacy: Toward a unifying theory of behavioral change. Psychological Review, 84(2).
  • Harkin, B., Webb, T. L., Chang, B. P. I., et al. (2016). Does monitoring goal progress promote goal attainment? A meta-analysis of the experimental evidence. Psychological Bulletin, 142(2).

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