こんにちは!maroです。
職場に、どうしても苦手な人がいる。
顔を合わせるだけで緊張するし、その人がいる会議は前の日から憂鬱になる。
でも周りを見ると、みんな普通に話している。自分だけがうまくやれていない気がして、ふとこう思う。
「これって、自分の性格に問題があるんじゃないか」
このページにたどり着いた人の多くは、たぶん既に何度もこの考えを頭の中で往復させているのではないでしょうか。
先に結論を書きます。
「職場の人が苦手なのは自分のせいなのか」という問いに、一人で考えて答えを出すのはほぼ不可能です。
理由は2つあります。
1つ目は、「自分のせいかも」という感覚自体が、疲れているときに出やすい思考の癖であるためです。事実を冷静に分析した結果とは限りません。
2つ目は、同じ悩みを一人で回し続けること自体が、視野を狭めてしまうためです。考えるほど答えに近づくどころか、遠ざかっていく構造になっています。
この記事では、まずこの2つを心理学の視点から深掘りしていきます。
そのうえで、原因を切り分けるための具体的な3つの問いと、それでも答えが出ないときにどうするかをまとめます。
なぜ人は「自分が悪い」と思ってしまうのか
心理学に自己奉仕バイアスという言葉があります。
人はうまくいったことは自分の実力のおかげだと考え、うまくいかなかったことは状況や運のせいにしやすい、という偏りです。
意外に思うかもしれませんが、これは多くの人に見られるごく普通の傾向です。
自分を守るための働きなので、むしろ健康的とも言えますね。
問題は、疲れているときや落ち込んでいるときに、この働きが弱まることです。
心理学者のエイブラムソンらは、うまくいかない出来事の原因を
・「自分の内側にあり」
・「これからも変わらず」
・「何をやってもそう」
と受け取る考え方の癖を指摘しました。
この癖が強い状態だと、人間関係のつまずきが「自分の性格の欠陥」という結論に直行してしまいます。
つまり「自分のせいかも」という感覚は、
冷静に分析した結果ではなく、消耗しているときに出やすい思考のパターンである可能性がある、
ということです。
原因を切り分ける3つの問いとは
とはいえ、「あなたは悪くない」と言われて納得できるなら苦労しません。
実際に自分の側に原因がある場合だってあります。
そこで役に立つのが、心理学者ケリーが示した、原因を見極めるための考え方です。次の3つを自分に聞いてみてください。
質問1:他の人も、その人を苦手だと思っているか
自分だけが感じているのか、周りも同じように感じているのか。
同僚が同じ愚痴をこぼしているなら、原因はあなたの内側だけにはありません。
質問2:その人といるときだけ、そうなるのか
他の同僚とは普通に話せるのに、特定の一人だけダメなのか。それとも職場の全員に対して同じように感じるのかです。
前者なら、原因は「あなた」ではなく「あなたとその人の組み合わせ」にあります。
質問3:前の職場や学生時代にも、同じことがあったか
環境が変わっても同じパターンが繰り返されているなら、自分の側の傾向を見る価値があります。
逆に、この職場に来てから初めてなら、環境の影響が大きいと考えるほうが自然です。
大事なのは、この3つは自分を裁くための質問ではないということです。
仮に3つとも「自分の側にありそう」だったとしても、それは欠陥の証明ではなく、変えられる部分がどこにあるかのヒントにすぎません。
それでも、一人では答えが出ないときは
ここまで読んで、たぶんこう思った人もいるはずです。「考えてはみたけど、結局よく分からない」と。
それは当然です。
自分の人間関係を自分で客観視するのは、原理的にとても難しいです。
加えて、一人で考え続けること自体があまり良い結果を生みません。
心理学ではこれを「反芻」と呼びます。
同じ悩みを頭の中で何度も回し続ける状態のことで、本人は「考えて解決しようとしている」つもりでも、実際には気分が落ち込み、視野が狭くなっていくことが知られています。
夜中にベッドの中で同じ場面を再生してしまう、あの感じです・・・。
つまり、答えが出ないまま考え続けている状態は、努力が足りないのではなく、方法のほうが行き詰まっているということです。
「誰かに話す」なら、相手を選ぶ
反芻から抜け出す方法として比較的はっきりしているのが、頭の中にあるものを外に出すことです。
話す、書く、どちらでも構いません。
言葉にした瞬間に、ぐるぐる回っていたものが一本の線になって、思ったより単純な話だったと気づくことはよくあります。
ただ、職場の人間関係の悩みは、話す相手を選びます。
同僚に話せば、いずれ本人に伝わるリスクがあります。友人に話すと「そんな会社辞めなよ」で終わってしまい、こちらが求めている整理にはならない。
家族に話せば心配をかけるし、「あなたも我慢が足りないんじゃない」と言われて、かえって自責が強まることもあります。
利害関係がなく、あなたを評価しない第三者。
この条件を満たす相手は、日常の人間関係の中にはほとんど存在しません。
カウンセリングという選択肢
そこで現実的なのが、カウンセリングです。
「病院に行くほどではない」と思っている人ほど選択肢から外しがちですが、カウンセリングは診断や治療のためだけのものではありません。
自分ひとりでは切り分けられない問題を、話しながら整理していく場所です。
前の章の3つの問いを、話を聞くプロと一緒にやるようなものだと考えると分かりやすいかもしれません。
とはいえ、平日に予約を取って通うのは、まさに今しんどい人にとっては高いハードルです。
その点、オンラインカウンセリングなら自宅から相談できるので、始めるまでの負荷はかなり下がります。
さいごに
「自分が悪いのかもしれない」という問いは、そのままにしておくと延々と続きます。
答えが出ないからではなく、一人で答えを出せる種類の問いではないからです。
まずは、その問いを自分の頭の外に出してみてください!
【参考文献】
- マーティン・セリグマン『オプティミストはなぜ成功するか』山村宜子訳、パンローリング (「自分のせい」と受け取る考え方の癖について。本文中の帰属スタイルの説明はこの本を参考にしています)
- 『はじめての臨床社会心理学 自己と対人関係から読み解く臨床心理学』有斐閣 (原因帰属理論と帰属のバイアス、抑うつと自己注目の関係について)
- 坂本真士『自己注目と抑うつの社会心理学』東京大学出版会、1997年 (自分に注意が向きすぎる状態と、落ち込みとの関係について)
- J.W.ペネベーカー『オープニングアップ 秘密の告白と心身の健康』余語真夫監訳、北大路書房、2000年 (話すこと・書くことが心身に与える影響について)



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